【うまじ×しまんと】あうんアールグレイ新登場!
皆さま、こんにちは。
晴れると気温が30度を超えるようになり、夜も気温が高い日が続きますね。
私の家の前の小川では毎年蛍が飛ぶので、今年もホタル観賞会(ひとり)を開催していました。
さて、今回は、山の中同士の馬路村と四万十がタッグを組んで、夏にぴったりの爽やかな紅茶が誕生したので、そのご紹介です!
こちらが、新登場!「あうんアールグレイ」
アールグレイとは、紅茶にベルガモットを香りづけしたフレーバーティーのことです。
ふわっと香るベルガモットの爽やかな香りと、しまんと紅茶のすっきりとした味わいが絶妙のバランスで楽しめます。
馬路村農業協同組合(以下、馬路村農協)が持つ、本場イタリアから正規ルートで入ってきた、ベルガモット。
そして、四万十町十和の広井茶生産組合が作る、しまんと紅茶。
横に広い高知県の東西の山奥同士が「あうん」で共同作業して生まれた紅茶です!
まず伺ったのは、ベルガモットの生産地
アールグレイに使われているベルガモットは、高知県室戸市吉良川町という所で作られています。
ベルガモットの生産者、岩貞さんの畑は海沿いの畑にありります。
畑にのぼっている途中で振り返ると、オーシャンビュー!
伺った日は、あいにくの雨でしたが、晴れた日はそれはもう絶景でしょう!
5月半ば頃に伺ったので、ベルガモットの花の時期を過ぎていしまいましたが、ベルガモットの木には、小さい実がたくさん生っていました。
その実からは、青々とした香りの中に爽やかな柑橘とちょっとスパイシーな香りが。
見るのも香りを嗅ぐのも初めてで、とても新鮮でした。
青玉の柚子とも似て非なる香りで、これがベルガモット…!と釘付けでした(笑)
生産者の岩貞さんがおっしゃるには、「青いうちが香りが強い」とのこと。
確かに、小さい実なのに強かった!実が大きくなるのが楽しみです!
ただ、ベルガモットは枝が弱く、実がたくさんついて大きくなると、実の重みに耐えきれずに枝が割けてしまうこともあるんだとか。
台風の被害が心配ですが、何としても無事であってほしいものです。
さて、岩貞さんの畑では、およそ150本のベルガモットが育てられており、接ぎ木でここまで増やしたんだそうです。
接ぎ木の基になったベルガモットは、馬路村農協 ゆずの森研究所の沢村正義先生がイタリアから輸入した証明書付きのベルガモットでした。
イタリア生まれ高知県育ちのベルガモット
ベルガモットの一大産地は、イタリアのカラブリア州。
そこで作られるベルガモットの精油は、世界に誇れる高品質で、アールグレイのような食品の他、高級香水のベースオイルとして重宝されています。
そんなベルガモットが、なぜ高知県に?と思われた方。
正直、私も思いました(笑)
それは、馬路村農協の主軸である柚子の他にもう一つの素材があった方が良いのではないか?という沢村先生のアドバイスからでした。
柑橘の研究をかれこれ50年近くされており、馬路村で研究も行っている、沢村先生。
2007年にイタリアカラブリア州に研究員として1年間研究していた時、ベルガモットの精油を使ったリキュール「ベルガミーノ」というお酒に出会い、これを柚子で作れないか?と考えました。(その結果は、一番下のおまけへ。)
イタリアから帰国した沢村先生は、馬路村農協の組合長に柚子に並ぶもう一つの素材やベルガモットについて話しました。すると、組合長から「じゃあ、ベルガモットを持ってきてほしい」と言われたそうです。
そして、2011年、沢村先生は再びイタリアへ。
カラブリア州の苗木屋さんで苗木を購入。
そして、イタリアと日本(関西国際空港)の両方で植物防疫の検疫所の合格書をもらいました。さらに、輸入時は、2~3年間の検疫期間が必要でしたので、神戸市の植物防疫所で検疫期間を過ごし、病害虫がないことが証明されたベルガモットが高知県にやってきたのです。
理想は、馬路村でベルガモットが栽培できることだったんですが、馬路村の気候に合わず、冬を越せませんでした。
イタリア カラブリア州の、海の風が吹き抜け、冬でも霜が降りない暖かい気候と近い気候が望ましく、高知県内で探していた所、室戸市吉良川町に出会いました。
吉良川町は南は太平洋に面し、北は高い山があるので、冬の冷たい北風をシャットアウトしてくれて太平洋に当たった太陽光が反射してくるので、冬でも暖かく、カラブリア州の気候と似ていたのです。
しかも、馬路村農協の職員さんにご実家が吉良川町で、果樹の栽培をしている方がいらっしゃいました。その方にお願いして、ベルガモットの栽培がスタートしました。
2020年度には300~500㎏の収穫量があり、2021年度の収穫量は1.2tまで増えました。
復活した和紅茶
イタリア生まれ高知県育ちのベルガモットとコラボレーションするのは、2007年に復活した、広井茶生産組合が作る和紅茶「しまんと紅茶」です。
しまんと紅茶は、1965年に四万十から姿を消してしまった和紅茶を復活させようと、2007年に広井茶生産組合が作り上げた紅茶です。
和紅茶の歴史は、明治初期から。
インドを旅して紅茶の作り方を学んだ「日本の紅茶の父」と呼ばれる多田元吉氏が国の命令で、高知県に「紅茶試製場」を作りました。これは国内で初めて作られた工場であり、出来上がった紅茶は、これまで国内で生産された紅茶よりもはるかに優れた香り高い紅茶ができ、現在の国産紅茶(和紅茶)のベースになったと言われています。
高知県十和地域でも紅茶が作られてきましたが、外国産紅茶の自由化に伴い、和紅茶の需要が少なくなっていきました。
そして、1965年、四万十から紅茶は姿を消してしまいました。
時は戻って、2007年。
40年ほど前に四万十で紅茶が作られていたことが分かり、「しまんと紅茶復活」構想が走り出します。
紅茶に詳しく、コピーライターの赤須治郎さんを四万十にお招きして、試行錯誤しながら、紅茶が復活!
復活当初は、紅茶の茶葉20㎏の量り売りが半日で完売するほどの人気ぶり。
今でも多くの方に紅茶を愛飲していただいております。
山の中同士。「あうん」のコラボ
馬路村のベルガモットと、しまんとの紅茶。
同じ高知県内でありながら、遠すぎるが故に交流も少なかった両者が、共同制作した「あうんアールグレイ」。
馬路村農協から「アールグレイを作りたくて、ベルガモットはあるが、紅茶がない。紅茶はないか?」と四万十ドラマに相談されたことがきっかけでした。
四万十ドラマがつなぎ役となり、馬路村農協と広井茶生産組合が出会ったのです。
相性も「あうん」
しまんと紅茶は紅茶の風味が強く、ベルガモットも独特な強い香り。
強い香り同士が合わさると喧嘩してしまうことが多々ありますが、「あうんアールグレイ」は「あうん」というだけあります。
アールグレイを口に含んだ時は、ベルガモットの爽やかな香りがふわ~っと吹き抜けていきます。その後にしまんと紅茶の味がじわっとひろがります。
なんといいますか、味が2段階で楽しめるのです。
紅茶の風味の中にもベルガモットの香りが混ざり、爽やかで、無糖でもどことなく甘味の感じる紅茶です。
私のおすすめは、アイスティーです。
「あうんアールグレイ」、ぜひアイスティーでお楽しみください。
ホットティーより、ベルガモットの香りが引き立ちます。
沢村先生は、「ミルクティーに合うんですよ」とおっしゃっていました。
牛乳が大丈夫な方はぜひミルクティーでもご賞味ください!
おまけ
ページの上の方でお話しました、沢村先生が作ったゆずのお酒についてですが、「ユズリーノ」というそうです。
関東圏ではウケが良かったそうですが、高知では定着せず…
3年ほどで販売中止になったのです。
そもそも、「ベルガミーノ」は食後酒。消化を促すお酒だそうです。
高知県は酒飲みが多いですが、食後酒を飲む余裕がないくらいお酒を飲むので、定着しなかったのかもしれませんね(笑)