うなぎ。

重箱にドドンと乗せられたうな重。

一口食べればうなぎの身のふわりとほぐれる柔らかさ。

甘く、コクのあるタレがうなぎと絡み合うことでより旨味を増し‥‥‥。

そして、白く温かいご飯と一緒に食べる。あの幸福感はたまりませんよね。

 

多くの人が魅了されるうなぎを、養殖しているところがあります。

それは四万十うなぎ㈱さんです。

今から約50年前のこと。現在、代表取締役の大前 達也さんのお父様の時にうなぎの養殖に取り組み始めました。

最初の頃は生きたうなぎを売ったり、捌いた状態で売っていたそうです。

 

しかし、生きたままのうなぎでは水揚げしてから鮮度が10日しか持たず、当時はまだ交通の利便性も悪かったため、売れなくなってきていました。

大前さんがスーパーで他のうなぎがどのようにして売られているのか見に行ったとき、外国産の安いうなぎのかば焼きが目に入りました。しかも真空され、冷凍の状態で並んでいるのを見てこう思いました。

 

「ああ、時代はこう変わって来たのか。このままでは駄目だ」

 

そして今から約30年前、大前さんに代が変わった際、うなぎの養殖から加工販売までを自社で行うことにしました。

 

大前さんが掲げるのは「安心・安全・美味しい」が揃ううなぎ。

国産で、しかも一社で行うからこそ揃う3拍子。

今回は、そんな熱い思いのこもった四万十うなぎ、その美味しさの秘密について迫っていきますよ!

四万十で生まれ、四万十の水で育ったから安心

養殖の始まりはまだ水温の低い2月~3月。うなぎの稚魚であるシラスを漁師の方々にお願いして四万十川で捕獲します。(四万十うなぎ(株)は捕獲のための許可を持っています)

養殖用に捕獲される数はなんと約30万匹! 重さにすれば約50~60キロほどです。

まだこの大きさや色では全くうなぎという感じがしませんね。

 

このシラスはすぐにトラックで運ばれ、地下水で3~7日泳がせてから池に入れます。

このシラスたちが入れられる池のは大きい池で150坪、小さい池で70坪という広さ!(家が一軒、クルマ2台と庭がある家が約40坪)

計12面の大きな池に、シラスはどぶんと入り、大事に育てられていきます。

 

最初は半透明だったシラスも2~3カ月ほどしてくると大きくなり、クロコと言われれる大きさになります。このクロコは鉛筆ほどの大きさで、この時に色は私たちが良く知る黒い鰻に近くなっています。

クロコはミニうなぎという感じですね。そして、そこから半年ほど育てると立派な大人の成鰻になるんです。

大人になった時の体長は約30~40センチほどで、重さは200~300グラムにまで育ちます。

最初のシラスの頃の体長は5~6センチ、体重0.2~0.15グラム なのでかなり大きくなりますね!

 

ここまで大きくなるのに約9カ月ほどかかっていますが、四万十うなぎでは最長15カ月という長い期間育てます。

早い養殖場では半年で成鰻にまで育てあげて加工するそうですが、全国平均は8カ月ほどかけて育てます。

そう考えると、四万十川の流れのようにうなぎたちはゆっくりのんびり育てられているんですね。

美味しさの裏には二つの鍵があった!

大前さんはこの育てる際に細かな調整をしているところがあります。

それは 【水】 と 【エサ】 です。

このどちらもうなぎを育てるには欠かせないものです。そしてこれが、美味しさの鍵でもあります。

池の水はすぐ傍を流れる四万十川の地下水を汲み取って使っています。

四万十川は日本最後の清流といわれるほどで、名水百選や日本の秘境百選にも選ばれている川なんです。

四万十川で獲れ、四万十川の地下水で育てられた四万十うなぎは天然ものとは異なり、泥臭さや独特の臭さが少ないんです。

 

さらに、それは与えているエサのおかげでもあります。

エサには臭みを消すために納豆菌を混ぜたり、四万十川で採れる川のりや魚粉など数種類を混ぜて与えているんです。

また、その時の気温や成長速度によって毎日エサの固さも変えているとのこと!

こんなにも細やかな管理をしているんですね。

 

シラスの時は体や口が小さいので、エサの固さは牛乳のようにさらさらとした状態に。クロコへと育てばたこ焼きの生地のような固さにして、成鰻となるころにはお餅のような固さのエサにします。

そんなエサにうなぎ達は我先にと群がって食べるそうです。

ものすごい食らいつき方ですね!

この時にうなぎの健康状態も見ており、大前さんによると、

 

「うなぎも人とおんなじで、体調が悪いと池の底で動かんなるきね」

 

とのこと。物言わぬうなぎ達から、そういった仕草を見極めるのはさすがプロ!

 

しかし、最初の頃は体調管理や水温管理が大変だったという大前さん。

九州にあるうなぎの養殖場を視察しに行ったり、エサの成分やその配分、水の温度など何年もかけて試行錯誤を重ねました。

 

水温はシラスの時から成鰻になるまで徐々に温度を変えていきます。

それぞれの成長に合わせて調整するため、大きな機械を導入して徹底した水温管理を行っています。

こうした細かい調整を行うことで、うなぎがのびのびと育つんですね。

このように、大前さんはうなぎをストレスなくゆっくりと育つことを大事にしています。

他にも、うなぎは夜行性のため池は日光を遮るように工夫し、うなぎの好む状態を作り出しているんです。

陽を遮ることで、水中の植物プランクトンの発生も抑えます。

 

安全なのは育て方だけではない

大きく育った四万十うなぎは池から水揚げされていくのですが、この時えさ抜きという作業を行っていきます。

池の管理やエサの工夫で臭みは少ないものの、まだ水揚げした時には池の匂いが残ってしまうそうです。

そこで、早くて3日ほど、シャワーのように上から新鮮な水を浴びせ、体内や表面にある臭みを流していくんです。

このようにして、美味しく食べていただくため、臭みを消す工夫をしています。

えさ抜きの作業が終われば、すぐ隣にある加工場へ持っていき、加工していきます。

すぐ加工ができる事によって、うなぎの鮮度が保たれます。

 

加工場に運ばれたうなぎは、一匹ずつ丁寧に、人の手でさばかれていきます。

作業をするのは6人。多い日は一人が500匹という数をさばいていくというからびっくり!

ちなみに、うなぎをさばく際に関西は腹から切る腹割り、関東は背から切る背割りと分かれているのはご存知ですか?

四万十うなぎは多くの人に美味しく食べてもらうために、発送する地域によって切り方を変えているとのこと。

なんて細やかな配慮でしょう!

 

そして、さばかれたうなぎは焼きと蒸しにもこだわって加工されていきます。

焼きは強火でしっかり焼いていき、次に蒸しの工程で皮も身も柔らかくします。こうすることでうなぎの美味しさを逃がさないように工夫しているんです。

その後はいよいよ、うなぎにタレをつけて焼いていくのですが、このタレが凄い!

タレには酸化防止剤や化学調味料や合成着色料などは一切使ってません。

また、タレは約50数年継ぎ足して作られてきた旨味とコクをたっぷり含んだ秘伝のタレ!

 

この贅沢なタレをうなぎにつけて焼いていきますが、この工程を4回繰り返します。

つけては焼いて、つけては焼き、つけては焼いて、つけては焼き。

最初はうっすらとタレと焼き色が付いていたうなぎですが、4回も繰り返していくことにより、身にしっかりとタレの深いコクと旨味がしみこみます。

そしてなおかつ、きれいな焼き色と香ばしさが出来上がるんです!

もう、この状態だけでヨダレが止まりませんね。

 

できあがったうなぎは、ここでも人の手で丁寧に一匹ずつ包装されていきます。

そして梱包された四万十うなぎは、みなさんのところに届きます。

こうしたノンストップ体制を取っているからこそ、四万十うなぎが取り組んでいる「安心・安全・美味しい」が実現されるのです。

 

インタビューの最後に大前さんに四万十うなぎの自慢できる所を聞いてみたのですが、返ってきた意外な答えに驚きました。

 

「今まで自慢したことないきにゃあ」

 

そう言うのです。こんなにも美味しく、また安全につくられた四万十うなぎを自慢しないなんて!

 

ですが、大前さんは今までやってきたことを当然と思っているからこそ自慢せず、まじめに丁寧に四万十うなぎを育ててきたのだろうと思いました。

 

自慢はしないけどこだわりは強い。

そうしてできるのが四万十うなぎ。

 

「安心・安全・美味しい」の3拍子がそろった四万十うなぎを一度食べてみんかえ!

【こぼれ話】 大前さんは20代の時に東京でお金を貯め、バックパッカーをしてメキシコを見てきたことがあるそうです。 その時、英語も全くできない状態だったそうで、身振り手振りで自分の伝えたいことを話していたとおっしゃっていました。 そんな経験から、海外展開もしている四万十うなぎ。 香港、シンガポール、バンコク、タイ、オーストラリア、アメリカの6か国に「うなきち」の店舗があります。 現地で本格的な日本のうな重を食べれると人気だそうです。 大前さんは毎年海外へ仕事で何か国も行っているそうですが、今でも英語はできないそうで、身振りで伝えるそうです。 「身振り手振りでも意外と伝わるんよ(笑)」とおっしゃっていました。 今はコロナが流行している時期ですが、収まったときに行ってみたいと思いました。
四万十うなぎ 蒲焼140gタレ付き真空パック
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四万十うなぎ 特製塩うなぎ140g真空パック
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四万十うなぎ ちまき
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