誰もが美味しさに唸る!四万十ポーク「麦豚」の魅力
この四万十町は昔から養豚が盛んに行われていたそうです。
現在も四万十町は高知県の中でも養豚場や養豚数はNo1で、その豚はブランド化されています。
その名も四万十ポーク。
そして、この四万十ポークを育てている養豚場の一つである平野協同畜産の4代目、沖 祐次さんにお話を伺ってきました。
平野協同畜産は4軒の養豚農家が集まって設立され、創業約50年になります。
沖さんはこの道20年のスペシャリストで、豚の状態を見るだけでその肉質や旨味を判断できるほど!
愛情をたくさん受けて育つ四万十ポークを知れば、きっとあなたも食べてみたくなりますよ!
大切に、愛を込めて
平野協同畜産は周囲を山と田んぼに囲まれた自然の中にあります。
元々この平野地区では庭先養豚と言う豚を放牧して育てる方法が盛んに行われており、当時は子豚を売る事を生業にしていたそうです。(現在は豚コレラなどの感染防止などのため、放牧を行う事は難しくなっています)
平野協同畜産では常時約5,000頭を飼育しており、その数を9人のスタッフで掃除や餌やり、見回りなどを行っています。
「掃除とか餌やって見回りゆう時に今日は下痢してないか、咳しやせんろうかって様子を見ゆう。もし病気やっても必要以上に薬を与えんようにしゆうね。あとは豚を強く叩いてしまったりするとストレスになるき、そういうことをせんように育てゆう」
また、これらの仕事以外に大事なのがお産です。ほぼ毎日お産があるそうで、あまり手を貸すことはしませんが、無事生まれるように見守ります。
1度の出産で約12頭の子豚が生まれ、最初は両手に収まるほどの大きさですが、1ヶ月経つ頃には重さ約9キロの小型犬ほどの大きさになります。その後、親離れをさせて育てていきます。
子豚の頃から大切に育てられているので人を怖がる事はなく、掃除などをしていると寄って来たり、鼻でつついてきたりして、ちょっかいを掛けてくると沖さんは言います。
そうやってじゃれて来てくれるのも小さい頃から優しく接し、ブラッシングなどでコミュニケーションを取っているから。愛情を込めて接するからこそ、ストレスをほとんど感じずに育つんですね!
美味しい訳はエサに有り!
四万十ポークを初めて食べた人が絶賛するポイントは、脂身に甘味がある・臭みがない・柔らかいという所。思わず『こんな豚肉今まで食べたことない!』と言うほど他の豚肉とは一線を画します。
その秘密はなにか?
ズバリ、 エサ です。
実は四万十ポーク、生産者によって与えるエサが異なり、芋を食べさせるなら芋豚、米を食べさせるなら米豚というように四万十ポークの中でも呼び方が変わるんです。
その中でも、沖さんが美味しさを追求したどり着いたのは 麦 。
普段のエサに大麦や小麦を加えることにより、脂身に甘さが出て、肉質も柔らかくなるそうです。しかも、遺伝子組み換えではない麦を贅沢に使って育てています。
この麦を配合するレシピを完成させるため、試行錯誤を重ねました。
餌はただ肉質を良くするだけではいけません。骨や内臓にも良い栄養が行き渡るようにレシピは作られており、健康的に育ってこそ甘みのある柔らかい肉質になります。
レシピが完成した後は、四万十ポーク麦豚を安定した美味しさに育てる事ができるようになりました。
そして、沖さんはこの麦豚を高知県が開催する豚肉の品評会へ出品し、見事グランドチャンピオンに輝きました!
この品評会は毎年10月に行われていて、100頭を超える出品があります。その中で沖さんはほぼ毎年賞を獲得し、通算6度もグランドチャンピオンとなりました。この記録は県でもトップクラスの成績なんです!
「安心して選んでもらいたいきね」
平野協同畜産では美味しさだけでなく、安心安全なお肉を目指しています。その取り組みの一つとして、四国の養豚場で初めて【農場HACCP】を取得しました。
この農場HACCPとは、農場の衛生管理を向上させるための工程管理システムのことです。
農場HACCPを導入することで、作業工程のマニュアル化やチェック体制が整い、生産性の向上や、適切な衛生管理基準のもとで生産された商品であるという証明になり、安心して購入していただけます。
農場HACCPを取得するためには各作業工程の詳細や、担当者などを書き出して提出・審査を受ける必要があるそうで、
「この書き出す作業が本当に大変でよ、掃除やエサやりから色んなことをやりゆうから、もう徹夜で書き出しよった。
その書類の審査が通ったら、次は実際に農場を見てもらって審査をされるがよ。それも通ってようやく農場HACCPを取ったがやけど、その時は農場のみんなで集まって『ようやったなぁ!!』って肩を叩きあいながら喜んだね」
提出する書類も多く、審査も厳しい農場HACCPを取得しようとしたのは、ひとえに美味しいお肉を安心して選んでもらいたいという沖さんの強い想いから。
ただ肉の美味しさを追求するだけでなく、食べる人が安心だと思い、選んでもらえるようなお肉づくりをしています。
これからの平野協同畜産
沖さんにこれからどのような取り組みをしていきたいか尋ねると、
「うちの直販店をつくりたいね。その場でうちの肉を買うてもろうて、食べることもできるような場所にしたいがよ。今はネットとか地元のスーパーとかで肉を売りゆうけど、やっぱり、お肉を食べたお客さんの生の声を聴いてみたいがよね。あとは新商品の開発をもっと取り組んでいきたいかな」
平野協同畜産では、本当に愛情込めて育てられているんだなと感じる取材でした。これからも美味しさと安全性を追求し続ける四万十ポークを、ぜひ一度、食べてみてください!