毎年、四万十川の鮎漁が解禁するのは、6月1日。

全長196㎞の四万十川は、日本最後の清流と言われるほど豊かな川です。四万十川で獲れるのは主に、鮎・ツガニ・川エビ・アメゴなどで、下流の方ではうなぎも獲れます。

出勤中に四万十川に目をやると、いつもは静かな四万十川に…あれ?なんだか人けが多いぞ…。
そういえば鮎漁解禁だからか!

四万十川のあちらこちらに、思い思いのスタイルで長~い釣り竿をのばす人々。
鮎はどうやって釣り上げているかご存知ですか?

今回は鮎の友釣りについてごく初歩的に解説いたします!

川漁師は、川と密接な暮らし

毎年この時期には川漁師となり、鮎釣りに勤しまれる矢野健一さんは、今年も解禁日当日のあさ7時から川へ繰り出されていたそう。
鮎釣りの方々に話を聞こうと川散歩をしていた所、橋の上から健一さんを発見!
電話に出るかな~と思ってかけてみましたが、案の定電話持ってないですよね、つながらず。

川の中ほどに、見えますか?小さい人影が…

こんな綺麗に晴れた日は、川と空が美しすぎて映えますね!

川の反対側で釣りに勤しんでおられる方は、川舟がまた風流。漁師たちは家に“持ち川舟”があったりするそうで、想像するとなんとも素敵ですよね!こんな綺麗なお天気の日に、誰もいなかったら川を独り占めしている気分も味わえるんですよ~!

四季によっていろんな表情を見せる四万十川ですが、これから暑くなってくるこの季節、鮎の解禁が、四万十川にささやかなにぎわいをもたらします。

「友釣り」ってなに?

日頃から鮎と関わりのない私は、「友釣り」というのが一体どんな釣りなのかわかりませんでした。「友」というと、仲が良い・親しいなどの意味がありますよね。しかし、友釣りはオトリの鮎を泳がせ、野生の鮎のナワバリに侵入させることで、オトリを敵とみなした野生の鮎が追いかけてきたところ、針に引っ掛けて釣り上げる、という技なのだそうです。

四万十川沿いの道路には、よく「オトリ鮎 あります」という看板を見かけますが、こういうことだったんですね!

しかし鮎にもナワバリというものがあるんですね。
魚ってなんとなく群れて泳いでいるイメージでした。野生の鮎は岩についた苔を主食としているため、泳ぎながら一定のテリトリーを確保しているんですね。

ここで少し、鮎の仕掛けについて教わりましたので、私の得意なイラストレーションにてオトリ鮎への針のかけ方をご紹介したいと思います。

オトリ鮎の①鼻の穴、②尻ヒレに針をかけて、③のかけ針に追いかけてきた鮎を引っ張る仕掛けになっています。この仕掛けを8m以上もある長い長い竿に施し、オトリ鮎が弱らないように泳がせます。

この、いかに自然に川の中で鮎を泳がせるかが鮎漁師の腕の見せ所なんだとか。

端の上から電話をかけた健一さん(去年の写真)ですが、改めて今年の鮎の様子をお聞きしたところ、「鮎の量としてはまあまあかな。大きさは去年と同じくらいか、少し大きい感じ。」との見解をいただきました。
お昼を食べてゆっくりする間もなく、「もう行くで」と早く釣りに戻りたいご様子。この日は鮎を出荷する鮎市場が閉まる17時までにどれだけ鮎を釣れるかの勝負の日でしたので、お手を止めてしまったらいけません。大変失礼いたしました。

鮎の解禁と遊漁券について

鮎釣りをするには資格がいると聞きましたが、いったいどんな資格なんでしょう?
簡単に調べてみますと、1日~年間パス、獲る魚の種類によっても料金が変わり、鮎に関しては解禁日から11月末くらいまで有効期限があるらしい。
“都府県知事の認可を受けた各河川を管理する漁協(内水面漁業協同組合)が発行する釣り券”なんだそう。ふむふむ。

この券がないと、見回っている現地監視員に追加料金を支払わないといけないんだとか。

そういえば、沈下橋をてくてく歩いていると、暇つぶしをしている雰囲気のおじいさまが釣り人に声をかけている様子を目にしました。近づいていくと気さくに声をかけてくださり、川の流れや岩の配置から鮎の釣れそうな場所を予想しておられたんだとか。よっぽどおじいさまも昔、鮎釣りに勤しまれたのであろう雰囲気で、釣り人が鮎を釣り上げる様子を目を細めて眺めておいででした。

あとから聞くと、そのおじいさまが監視員だったそうで、ハッとさせられるじゃないですか。

鮎釣りの監視員は、昔は釣り名人だった。
勝手にそんな想像が沸き起こってきます。素敵な出会いでした。