EKIMAE HOUSE SAMARU

どうも! 四万十ノのスタッフの脇田です!
ここ一年ほどは、気軽にお出かけや旅行ができない日々が続きますね。私は旅行をするのが好きで、ここ数年は一人で各地の神社仏閣巡りをしていたのですが、現状ではいくのも難しく、想いを募らせています。

落ち着いたらまた旅行に行きたいな~と思っていますが、皆さんは宿と観光場所、どちらを先に決めますか?私は真っ先に「宿」を決めてから計画を立てます!なにせ宿は旅行をする上で欠かせない拠点であり、醍醐味でもありますからね。

観光で程よく疲れた身体を癒やしてくれるのはもちろん、その宿から見える景色や外観なんかも大事です。ここを疎かにしてしまっては、翌日の楽しさが半減するというもの。

そんな、旅行には欠かせない宿ですが、交流を楽しむ事に特化した宿【ゲストハウス】をご存知ですか?違う土地や国の人々がそのゲストハウスで出会い、交流を深めて語り合う。そんな、普通の宿とはちょっと違った楽しみ方ができるのがゲストハウスの魅力です。

そのゲストハウスが、土佐大正駅のすぐ目の前、徒歩10秒の距離にあります。
その名も「EKIMAE HOUSE SAMARUエキマエ ハウス サマル」。

EKIMAE HOUSE SAMARU

気さくなオーナー小野雄介さんに、大正の魅力やゲストハウスを始めたきっかけなどを取材してきました。

ぜひ、四万十町に想いを馳せながら、最後まで読んでみてください。それでは、大正を巡るツアーに、ご案内~♪

町まるごとひとつの宿

先ほど「大正」と表現いたしましたが、実は2006年に大正町を含む3つの町村が合併して四万十町となりました。なので、正確には「旧大正町」と呼ばれます。しかし地元では「大正」と親しみを込めて呼んでいるという事から、この記事でも大正という風に表現させていただきます。

 

さて、大正にあるゲストハウス「SAMARU」、この名前の由来はなんだろう?と思い、小野さんにさっそく尋ねました。

「SAMARUの本当のつづりはUを除けたSAMARなんです。アラビア語で『日が暮れた後、遅くまで夜更かしして友達と楽しく過ごす』っていう意味があるんです」

 小野さんがこの言葉を見つけた時には、既にゲストハウスのコンセプトを決めており、それにぴったりだと思ったそうです。そのコンセプトは『四万十と友だちになる』。これには地元の人と交流をして、友達になる事でまたこの場所に来たいと思ってほしいという、小野さんの想いが込められています。

その交流の場を提供する一環として、朝食や夕食などはゲストハウス近隣の食事処を勧めているそうです。しかし、夕飯を食べるなら居酒屋が良いですよと宿泊者の方に教えると、帰ってこない人が続出するそうで……。

「『すぐ帰ってくるわー』って居酒屋に行った人が、なっかなか帰ってこないから、迎えに行った事が何回かあるんですけど。居酒屋の人が宿泊者の人をまぁ可愛がってくれてるみたいで、帰りが遅くなってるんですよね(笑)」

そう、なぜ多くの人が帰ってこないのか。

それは居酒屋の方が宿泊者をめいっぱいもてなしてくれるから。お皿いっぱいに盛られた料理を堪能しつつ、大将や女将から地元のできごとや暮らしなどを聞くことができます。それだけではありません。居酒屋では県外ではめったにお目にかかれない『ウツボの唐揚げ』も食べられます。

ウツボ!? と驚かれるかもしれませんが、高知県では昔から食べられてきたソウルフードです。唐揚げにすると皮と身の間にあるコラーゲンが旨味となって口の中に広がり、と~っても美味しいんですよ!

まるで秘密基地! 遊び心あふれる宿の中

ゲストハウスSAMARU は、築40年以上の元旅館を小野さんと地元の大工さん達で改装しました。
旅館の時に増改築を繰り返していたようで、狭い階段や廊下が多いですが、なんだか秘密基地で遊んでいる様な心地で、子供心をくすぐられます。

手すりがロープなのは個性的なのに、雰囲気にうまくマッチしています!

廊下はとってもカラフル!

この廊下の装飾に使われている装飾の板は、改装の時に出た床板の余りを再利用したものだそうです。不揃いな大きさや形がなんだかパズルのようですね。

廊下を真っ直ぐ進むと、大きくて立派なカヌーを発見! 中には座布団と机が置かれています。

このカヌーはもともとこの旅館にあったものらしく、今は共有の読書スペースとして利用できます。今時、カヌーに乗る機会はそうそうないと思うので、ぜひ乗り込んでみてください! 

そして、カヌーのすぐ右隣には「Kosho Kosho」という古書の読書スペースがあります。

ハンモックや味のあるソファが置かれており、本棚にある漫画や本をのんびりと自由に読む事ができます。本はちょっと昔に出版された漫画や小説もあります。普段読まないジャンルの本を読んでみると、新しい発見に繋がるかもしれませんよ。

そして、気になるお部屋は2種類。ドミトリー(相部屋)と個室に分かれています。

ドミトリーのお部屋にあるベンチ、その形も印象的でオシャレ♪

ドミトリーのお部屋はカーテンで仕切ることで、プライベート空感もちゃんと確保できるので、ゆっくり休めそうですね。

個室の方は和風な造りになっており、和やかな気持ちに包まれます。

宿は床材を始めとしたほとんどの建材や家具に、大正産のヒノキやスギを使っているそうです。それは小野さんがこの宿を形作る殆どを【大正産】にこだわったから。木の香りやぬくもりを存分に感じてみてください。

共有スペースの談話室では同じ宿泊者同士、お酒や料理を楽しみながら交流を深める事もできます。

 

大正散策スポット紹介

小野さんはオン・オフ問わず大正の様々な場所を訪ね歩いており、四季ごとの見所や、観光案内のパンフレットにも情報が殆どないディープな場所まで知っています。

「ふらっと泊まってみたけど、どこを観光しよう?」

「自然を感じられる場所はどこなんだろう?」

そう思ったらぜひ、小野さんに聞いてみてください。身近な観光場所から地元の人も余り知らない様な所まで色々と教えてくれますよ!

 また、小野さんのガイドで大正町の景色や気になった所などを写真に収め、最後にその写真でオリジナルの大正町マップを作成するツアーもあるので、思い出作りに体験してみてはいかがでしょう。

地元の人と交流したり、近くを流れている四万十川を眺めたり、のんびりした観光を楽しむ事ができます。

私は高知市から少し離れた目の前がザ・山という場所で過ごしていたので、自然には慣れたつもりでしたが、大正はまた違った自然の濃さや温かさがありとても楽しめました。市街地や都会に住んでいる方ならば、より楽しい癒やしの時間になるのではないでしょうか。

私も少し取材の後に大正を散策してみたので、自然を感じられる場所を中心にご紹介します!

大正橋の真下で川遊び

これは国の登録有形文化財に指定された「大正橋」です。SAMARUから歩いて約10分程の場所にあります。橋のすぐ近くに川へ降りる道があるので、下っていきます。河原に行く1メートルほど手前は地面がむき出しになっており、地面が柔らかくなっています。汚れてもいい靴で行きましょう。

橋の真下は浅く、私が行った時は足首程の深さでした。この辺は夏場に川遊びをしてもいい場所だと小野さんが言っていたので、夏にお越しの場合は涼んでみてはいかがでしょう。

※雨の日の翌日などは増水している事がありますので、小野さんに確認するか、川の様子を見てから向かいましょう。また、遊ぶ時は流れの緩やかで浅い場所を選びましょう。

 

樹齢800年を越える大杉

小野さんに自然を感じられる場所はどこですかと尋ねると、熊野神社の大杉を教えてもらいました。 熊野神社は氏神うじがみ神社として町の人々に親しまれています。夏と秋にはお祭りが開催されたり、毎月9日には子ども食堂が開かれるなど、地元の人達にとって欠かせない場所となっています。

その歴史は古く、建久元年(1190年)の頃から祀られて来たそうです。

そして、大杉のある場所は境内から少し離れた鎮守の森の中です。境内に上がる手前に石の鳥居があります。

その鳥居を背にして正面に鎮守の森が広がっています。森には沢山の杉の木が植えられており、どれも天高く伸びていました。その中を進んでいくと、あきらかに他の木とは一線を画す巨木が目に入りました。思わず『でっか……』と言ってしまう程、どこから見上げてもなかなかてっぺんが見えません。

ずっしりとした幹の太さは、4~5人の大人が腕をめいっぱい広げて、ようやく一周できるかどうかというほど。樹齢は800年を悠に超えているそうで、この地域をずっとこの場所で見守ってきた木なんだなと、その長い歴史に想いを馳せました。

熊野神社の境内もそうでしたが、その場所からは土地の優しさの様なものを感じられ、とても不思議な感覚を味わえる場所です。

隠れスポット海津見わたつみ神社

小野さんの『地元でもけっこうな隠れスポットじゃないかな』という言葉に興味を持ち、海津見神社を探してみる事にしました。が、『隠れスポット』と言われるだけあって、ほんと~に分かりにくい場所で探すのに苦労しました。

場所は熊野神社の斜め前、田野々小学校のすぐ近くです。学校への上がり口を通り過ぎ、奥に行くと国指定の重要文化財に登録されている「旧竹内家住宅」の茅葺き屋根が見えてきます。ここからが海津見神社探しの本番です。

「旧竹内家住宅」をほんの少し奥に行くと、国道381号線が頭上を走っています。その直ぐ側に、周りの緑と同化した細い階段があります。

最初は「え?! 本当ににここ?! 合ってる?」と疑うほど分かりにくい階段です。舗装された階段ではなく、不揃いな形の石できた階段なので苔や落ち葉で滑って転ばないよう、気をつけてください。

※行くなら運動靴がオススメです。サンダルやヒールの靴は滑って危険なのでやめましょう。

 

途中から手すりもなくなり、場所が合っているのかも疑心暗鬼で「ホントに合ってる?!」と独りごちながら慎重に約30メートル程を登ると、建物が見えました。そして、建物の前に周ってみるとしっかり「海津見神社」と書かれてあり、ほっとしました。

「ここが小野さんの言っていた隠れスポットか!確かにこれは見つけにくい!」と納得しました(笑)

この場所からは、田野々大橋や川の流れを一望できるとても見晴らしのいい場所でした。ぜひ、大正の隠れスポット海津見神社を探してみてください。

行った事のない場所へ

実は小野さん、もともと大分県の出身なんです。愛知県の大学を卒業後、福岡県で就職し、12年間のサラリーマン生活を経て2015年に地域おこし協力隊として大正へやって来ました。

なぜ、移住しようと思ったのか尋ねると。

「地元にずっといるよりは、行った事のない場所に行きたいという気持ちがありました。だから、老後に移住をしようと考えていたんですけど、身体が動く内にした方が良いかなと考えたんです。

その時、高知に移住コンシェルジュの人がいたので相談をしに来ました。そしたら『近々大阪で地域おこし協力隊の説明会があるから、行ってみたら?』と言われ、説明会に参加したんです」

 

そこでは各地の自治体の説明や、協力隊の先輩の声が聞けたそうです。その中から活動地を選ぶに当たり、小野さんは2つの基準を決めていました。

「まず1つ目はその自治体に協力隊の先輩がいる事でした。先輩がいるという事はその地元の人も協力隊の活動を分かっているので、活動がやりやすいのではないかと思って。

2つ目はその地域で活動するミッションがある事です。自治体によってはミッションが無い所もあるんですけど、僕はイベントスタッフや企画系の仕事をした事がなかったので、ミッションが無いと何をしたらいいか分からなくなるだろうと思ったんです」

数ある自治体の中から小野さんは四万十町を選び、面接を受けました。その翌日には、四万十町案内が行われたそうです。あいにくの雨だったようですが、その時訪れた「ある場所」に小野さんは魅了されました。

それは【久木ノ森山風景林くきのもりやまふうけいりん】です。

土佐大正駅から北に行った場所にあり、森林浴やキャンプ、秋には紅葉狩りも楽しめる場所です。

その時の雨も相まって、久木ノ森山風景林は小野さんの目にとても神秘的に映りました。穏やかな川のせせらぎ、緑が生き生きとした美しい光景に小野さんは心を奪われ、四万十町を選ぶきっかけの一つとなったそうです。

今でも、久木ノ森山風景林は小野さんが四万十町で一番好きな場所です。特に5月から6月に掛けては緑が最も綺麗な時期で、気温的にも過ごしやすいので訪れる時期としてはオススメだと教えてくれました。

かつての賑わいを取り戻したい

周囲を山に囲まれ、四万十川と梼原川が合流する地点にある大正。昔から林業の盛んな地域で、良質なスギやヒノキの産地として知られています。

しかし、林業で賑わっていた全盛期の頃の面影は、もうありません。

土日でも商店街の人通りや車の通りが少なく、閑散としていると小野さんは言います。

「大正商店街の活性化」と「賑わいの創出」。

これは小野さんが協力隊時代にも取り組んできた大正町の抱える大きな課題です。

協力隊として活動していく中でこの現状をどうにかしようと、土佐大正駅前にある元旅館(現在のSAMARUすぐ隣)の一部を改装し、観光客と地元を結ぶ【大正駅前にぎわい拠点】を作りました。そこでは地元の観光案内やパンフレットの設置、自転車のレンタルなどが利用ができます。

小野さんはその運営に携わる中で、地元の方々からかつての大正がどんな場所だったかポツリポツリと聞くようになりました。

「林業で町が賑わっちょった頃は、この商店街も人通りが多かったがやけどねぇ」

「ここではよう宴会もしよったし、食堂や喫茶店なんかもやりよったき賑やかやった」

また、県外などから観光客を呼び、関心を持ってもらう事で移住者の増加や商店街を活性化させたいという思いがありましたが『泊まれる所がない』というジレンマを抱えていました。こうした地域の課題に直面し、小野さんの中で『この元旅館を復活させて、ここを中心に町を盛り上げる事はできないか』そんな想いが膨らんでいったそうです。

協力隊として活動する1年目の終わり、小野さんはゲストハウスという存在を知りました。それからは活動を続けながら、ゲストハウス開業のための資格取得やゲストハウス開業のイロハを学ぶ合宿に参加するなど、着々と準備をしていったそうです。

そして、地域おこし協力隊の任期を終了した数カ月後。長い準備期間を経てようやく、2018年7月に「EKIMAE HOUSE SAMARU」をオープンしました。

 

小野さんに、今の大正をどう感じているか尋ねてみると。

「大正はまだ持ってる魅力を引き出せてないと思っていて、このゲストハウスを中心に県外だけでなく外国の人も訪れてくれたら良いなと思ってます。

去年頃から外国の人も、少しずつ訪れてくれるようになっていました。これからもっと訪れる人が増えた時、外国の人に声を掛けられてわたわたしてる地元の人の姿を見てみたいと思ってるんですよね(笑)」

小野さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべ、そう話してくれました。その景色は、なんだかそう遠くない未来に実現する、そう思えました。

 

現在、小野さんはゲストハウスを運営する傍ら、商店街を盛り上げるための取り組みを考えています。その一つが【しまんとシェアキッチン~やってみたいができる場所~】です。

商店街にはシャッターを下ろした店が多くあります。その場所に、小野さんが飲食店営業許可と菓子製造業許可を取ったレンタルキッチンを作るというものです。

「『カフェをやりたい』『お菓子を作って売りたい』っていう人にその場所を貸す事で、そんな思いを持った人がチャレンジしやすい環境を作りたいんです」

環境を整える事で町には新しい店と人が増え、店を開く人は夢を叶える事ができる。店が増えていけばいずれは話題となって、観光客が増えるかもしれません。その流れができれば、商店街にも人通りや活気が戻るのではないでしょうか。

またこれ以外に小野さんは、地元の人にも余り知られていない紅葉スポットを案内するツアーや山の上に展望台を建てたいなど、アイデアが次々湧いてきているそうです。

こうして取材をしていると、小野さんを中心にぐるぐると渦が広がり、いずれ大正全部を飲み込むほどの何かが起こりそう…!そんな印象がありました。

これからの小野さんの取組みが、町にどんな化学反応を起こすのか、目が離せません!

町の雰囲気はとても静かで落ち着いているのですが、どこか温かさを感じられ、懐かしい気分になれるような不思議な場所でした。この場所は、きっと活気を取り戻す力を秘めていると感じました!
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