ヒノキカグ大正集成と四万十の森

四万十町大正地区の国道381号線を車で走っていると、ふいに道路沿いに現れる美しい木のモダンな建物をご存知でしょうか?

こちら反対側からですが、道路の左車線を走って通り過ぎるときに、大きい窓から建物の中が見えるんです。中のおしゃれなインテリアも気になる…でも家具を買う予定もないし、入りたいけど勇気がない…と思いながら過ごしていたなか、ちょうどこのブログ企画が始まり、取材に行きたい!と手を挙げて念願のSHOWROOMを見ることができました。

看板もおしゃれですよね〜。

建物の中に入ると、ヒノキがふわっと香ります。ヒノキの机や椅子の他に、お子様も安心して乗れる揺り椅子や、すべり台も!個人的に写真左に見えるくじらの乗り物が「欲しい!!」と熱烈に思ったことでした。通販では取り扱っておらず…どうやら限定品のようですね。お値段…気になりますが、交渉してみようかな。

ヒノキカグ大正集成は、四万十町森林組合のなかの一部で運営されております。四万十町森林組合では、四万十町で間伐されたヒノキで作ったものを販売することで新たな雇用の場を提供し、また販売で得られた資金を使って植林をすることで、再び森林資源を森へと返す仕組みづくりをされています。

外国産の商品が溢れる中、四万十のヒノキ100%で作られたものはとっても貴重ですよね。さらにこちらで購入すると、四万十の森林に貢献することになります。なんだか、想像するだけでいい気持ち!くじら、本気で交渉しようかな。

材木が、集成材になるまで。

SHOWROOMの横の道を降りていくと、整然と並ぶ木材置き場が。四万十町内から集められた材木がこちらに集められ、製品になるのを待っています。1ヶ月天日干しして乾燥させ、倉庫で保管されるのだそうです。

工場は2つあり、まず1つめの工場で集成材の元となる「材」をつくります。

担当の職人さんがご案内してくださるので、工場内も安心して見学できます。社会科見学も多数受け入れされているそう。大人の私でも初めて見るものばかりで目を輝かせていたというのに、子供たちならもっと感激するはず!

丸太の形を削って規格の大きさに裁断し、カンナで削って綺麗に整えます。節の部分をカットし、小さくなった材と材を専用のりでくっつけて、集成材の規格に合わせて長さを揃えてゆきます。

節の部分はそのまま残しても良いものと、腐りが出るのでカットしなければならない部分があります。ひとつひとつ見極め、素早く判断するのもまさに職人技。

整えられた材はさらに磨きをかけていき、最終的には集成材や家具となります。なんと集成材は小さい材をギュッと圧締(あってい)して板とするので、1枚の板に比べるとなんと1.4倍も強度が増すのだそう!

1枚の方がだんぜん強いと思っておりました。おそるべし、集成材。

ご覧ください、この美しい表面を。

職人さんの心意気

1つめの工場の下に、2つめの工場があります。大きな扉!(大きすぎて工場全体が入りませんでしたが)昭和63年に建てられたのだそうです。

2つ目の工場では、先ほどの工場と違い、職人さんがそれぞれ作品づくりに励んでいる姿が見られました。こちらで作られた製品を取引先まで運び、設置までもされているとのこと。保育園や学校関係のお仕事が多いそうです。

作業机も、レイアウトがなんだか「職人」って感じがしますね!

ずらっと並んだ材を削るノコギリの刃。少しずつ形が違い、つくるものによってノコギリの刃も変えているとのこと。

椅子の背もたれ部分は薄くした1枚の板を何枚か合わせて圧力で曲げたり…

椅子の座面にアクセントを掘ってみたり。まだまだ新たな商品開発に向けて試行錯誤を続けておられるそうです。

現在は17名の職人さんがおられ、ひとりひとりが1つの製品を最初から最後まで担当しているとのこと。空いた時間を見つけて、それぞれがこだわりのもとに製品を仕上げられるので、よりクリエイティブな製品が作り上げられるのですね。

今回ご案内してくださった、工場長の廣田 和也さん。地元大正地区出身で、高校を卒業して以来ずっとこちらの工場を支えてこられたそうです。

要点がまとまらず、少し時間がかかってしまった今回の取材でしたが、こちらの要望や質問に丁寧にお答え下さりました。長年たくさんの見学者を受け入れてこられた大きな懐を感じざるをえません。

そんな素敵な廣田さんの夢は、四万十町全体の経済がよくなるように、資源を有効に活用していきながら、「ヒノキカグ」をいろんな人に知ってもらうこと。

四万十町の森林を、この機会に考えてみませんか。