野菜作りは土と野菜のチカラなり「桐島畑」
十和が誇るオーガニック農家「桐島畑」
ここは、四万十町十和地域の小野地区。
国道381号線の本線から、四万十川をまたいだ対岸にあります。
ここで、里芋・ナバナ・生姜など年間78品目もの野菜を、すべてオーガニックで栽培するスーパー農家がいます。
年間78品目ですって!?
栽培面積は1町7反!?広すぎてピンとこない、、、。
(25mプールで例えると約42個分ですー)
そんな、超多忙な「桐島畑」の代表桐島正一さんを1時間以上つかまえて取材してきました。
フカフカの土と丁寧な作業
さっそく、間もなく収穫をむかえるというカボチャ畑へ。
品種を尋ねると、みやこ南京・恋するマロン・ほっこり133の3種類。
中玉と大玉を混ぜて、それぞれの性格に合わせて栽培を管理しているそうです。
8月に植え、11月頃に収穫して、しばらく寝かせて熟した1~2月に販売だとか。
まず畑へ一歩足を踏み出すと、長靴越しに分かるこの感触。
土がフッカフカ!
山の中の畑は、ゴロゴロして硬い土という勝手なイメージでしたが、
桐島さんの畑は、その予想を裏切る柔らかさで驚きました。
カボチャは雄花と雌花が別々に咲くため、受粉は手作業だそうです。
それから、一番元についてる葉の大きさまで実が太るとか、雌花が3つだからカボチャを横に包丁で割ってみたら3つの部屋があるとか、今まで知らなかった事柄が次々とでてきて、農業の楽しさが伝わってきました。
大切なのはキンコンキン
桐島さんから聞いた際、あまりの響きのよさに頭の中でカタカナに変換されましたが、
正しくは「菌根菌」
「私の農業はまず土づくりを大切にしています。化学肥料や農薬をやれば、その時の病気は防げるかもしれんけど、野菜自体のチカラが育たんね。いい土をつくり、微生物と野菜を共存させる環境を作らんといけません。大切なのはね、なに言うてもやっぱり菌根菌よ!」
土の中の微生物を増やして良い菌をつくり、その菌が根に付着してその植物と共生する事の出来る菌だそうで、やはり化学肥料ではこの菌は育たないそうです。
桐島畑の肥料は、シンプルに鶏糞だけ。
土と植物が助け合える土づくりにするまで、約10年費やしたと言います。
自分らしく、そして面白く。
就農して33年、まだまだ現役バリバリ54歳の桐島さん。
アメリカで2年間農協研修をした後に、最初の6~7年間は地元JAに出荷する野菜として、主に米ナスの栽培をしていました。
「段々とね、マニュアル通りにやるのがつまらんなってきてね。」
アメリカで学んだ事を思い出しながら、国に守られながらの日本の農業の弱さに少しづつ疑問を抱き、試行錯誤しながら28歳で完全に有機栽培に転換。
ナバナ・オクラ・スナップエンドウなどでスタートし、同じ志を持つ仲間たちと支え合って経験を重ねてきたそうです。
この農業と風景を次の人へ
桐島さんの次の目標は、次の人に伝えて渡していくこと。
そう思い始めたのは、実はいまから15年ほども前だそうです。
その頃はちょうど、産地直送できる顧客が全国にできて急成長した頃で、学びの場にもよく出向いて参加されていたとか。
ある勉強会で出逢った、東京から来たという料理人のひと言にハッとしたと言います。
「俺は料理の伝道師になりたい。お前は野菜の伝道師になればいい。」
自分流にやってきた農業を、いざ伝えるとなるととても難しかったと言いますが、スタッフの方々や研修生に日々伝えながら、少しずつ渡していっている最中だとか。
じつは、桐島畑のお野菜は、なかなか地元では買うことができません。
ほとんどが、楽しみに待っている全国のファンに産地直送便で送られるそうです。
初めて桐島畑の野菜を、しかも畑でそのまま食べたときは本当に感動したなー。
オーガニックなのに、虫食いがほとんどなく綺麗でみずみずしく、色も味も濃いんです。
野菜からエネルギーをもらうという事を、強く体感した瞬間でした。
加工品にも力を入れ、ジンジャーシロップも県内外で大人気です。
こんな素敵な農家さんが地元にいるって、本当に誇れることです。
実は桐島さん、農業に携わった人なら知らない人はいない、雑誌「現代農業」に度々登場し、栽培マニュアル本も出版されている凄い方なんです!
はるばる海外からも、桐島さんの農業を学びにくるんですよ。
農業に興味があるかた必見です。
「農家が教える 桐島畑の絶品野菜づくり1」著:桐島正一 出版:農文協 2013年9月
「農家が教える 桐島畑の絶品野菜づくり2」著:桐島正一 出版:農文協 2014年1月