【酒造りは米作りから】美味い酒には手間ひまを!

皆さま、こんにちは。
通勤途中にはツバメの団地があり、いつもこの時期は賑やかに飛び交います。梅雨は飛ぶ高さが低くなるようで、私(車)とぶつかってしまわないかヒヤヒヤするのも、この季節恒例になりました。
このツバメの飛び交う季節は、田植えの時期。
四万十町の至る所で田植えが行われました。四万十町大正地区の酒蔵「無手無冠」(むてむか)さんでも田植えが行われるとのことでしたので、お邪魔させていただきました!
初夏の雰囲気が漂う晴れの日に、いざ田植え!
田植えが行われたのは、5月14日。
前日まで雨予報だったので、当日までどうなることかと心配していましたが、当日はカラっとした晴れ!!いや~、暑かった!(笑)
伺ったのは、無手無冠さんの酒蔵から川上へ車で15分程の場所。
四万十川を直下に臨む場所に、無手無冠さんが借りている田んぼがありました。
田んぼに到着すると、既に水抜きが始まっていました。
田んぼのすぐ近くには、トラックと、田植え機と、無手無冠のスタッフさん5名。
ワイワイと田植えの準備をしています。
通常の田植えは、ある程度の水を入れてから田植えを行いますが、無手無冠さんの田植えは逆。
なぜかというと、『紙マルチを使うから』です。
水が多いと、紙マルチが浮いてきてしまうそうで、ある程度水を抜く必要があるんだそうです。
ちなみに、紙マルチは「ゴツい画用紙」という感じ。
水に濡れる前は、結構硬い紙でした。
前日まで雨が降っていたので、「1時間くらい前からずっと水を抜いているんですけどね、もうちょっとがなかなか抜けないんですよ…」と作業をしながらお話してくださいました。
紙マルチの田植えは3人体制
水もいい感じに抜けてきたので、紙マルチと苗を田植え機にセットして、田植えスタート!
山にこだます、「じゃ、いきまーす」「「うぃー!」」の声。
紙マルチを使った田植えは、田植え機を操作する人が1人、紙マルチを抑えながら植え損ねた苗を植えなおす人が2人の3人体制。
そして、田植え機が通った後ろなどを均す人が2人。
田植えが始まると、和気あいあいとしていたのから仕事モードに一変。
息の合ったスムーズな作業でどんどん苗が植えられていきます。
わぁ、すごーい…!と写真や動画を撮っていると、気付いたら田植え完了。
田植え機で植えきれなかった部分は、手で植えていくんだそうですが、とりあえず一段落。
綺麗に植えられた苗。流石毎年やっている方は違うなぁ…!と思っていると、「今年は上手にいって(できて)、よかったよかった^^」と皆さん。
苗の列がガタガタになってしまうことがほとんどだそうで、今年ほどきれいにできるのはあまりないんだとか!
紙だから、やがて溶けて消えるエコマルチ
水に濡れた紙マルチが、地面を覆っている様子は、まさにマルチ。
それでも、紙は紙なので、時間とともに溶けて分解されるんだそうです。
紙マルチは1ヵ月半ほどの間、苗がまだ小さい時に、雑草が生えてきてしまわないように抑制するのが役目。
1ヵ月半も経つと、水に溶けて、微生物に分解されて、なくなっていきます。
ビニールのマルチを使うと、ずっとマルチが残り続けてしまいます。残ったマルチはゴミになってしまいますし、田んぼの外に出てしまうと、拾うことができなくなって、結果四万十川に負担をかけてしまうことになります。
手間はかかっても、四万十川に優しく、継続できる産業として紙マルチを使ったお米作りに行きついたんだと思います。
四万十川に負担をかけない米作り
四万十町大正地区の酒蔵「無手無冠」。
人気で看板商品は栗を使った「ダバダ火振」ですが、実は日本酒の蔵なんです。
詳しくはこちら
毎年田んぼを借りて、日本酒造りで使うお米を育てている無手無冠さん。
そのお米作りは紙マルチと栗焼酎の搾り粕を使う、ちょっと変わったお米作り。
紙マルチは、無手無冠さん育てる田んぼで1997年から使われています。
防草剤や化学肥料を使わないやり方は、四万十川を守るため。
四万十川のある景色を守り続けるために、四万十川に負担をかけない米作りをしています。
いやぁ~、秋の稲刈りまでの成長が楽しみです!!
自分たちの食べるコメで酒を造る。
無手無冠さんが受けているお米は、「ヒノヒカリ」。
酒造好適米ではないのですが、無手無冠さんがヒノヒカリでお酒造りをしているのは、「自分たちが食べる米で作ったお酒が『地の酒』」だからだそう。
お酒造りの為だけの米作り、ではなく、お米作りの先にあるお酒造り。なんだなぁと思いました。