今の季節ならではの、こんな山のコントラスト。

四万十川沿いの山々は新緑の明るい黄緑色が目立ち、目に眩しく映ります。春を実感しますね!

春の山といえば、みなさん何を思い浮かべますか?

春の山は、お宝の山!


桜が終わって今度はツツジが満開を迎え、新緑も美しい山々ですが、少し山に分け入ると、春だ〜!と勢いよく地上へ茎や葉っぱを伸ばしている”山菜”たち。

くもの巣みたいなわたわたをかぶったゼンマイ。

子供の頃にこのくるくるを見て、

「こっ…こんな綺麗なくるくるが、自然界にあるんか!?」

と若干疑いの目をもって眺めたことでした。一度見たら忘れられない山菜のひとつです。



イタドリなんてそこかしこににょきにょきっ!ここにも…



ここにも!!

今回お山に連れて行っていただいた 株式会社十和おかみさん市の居長原信子さんいわく、「どこにでも生えちゅう」とのこと。

中途半端に山から縁遠い地域で育ったわたくしみもとにはあんまり馴染みがなく、イタドリを生で食べたことがないことにびっくりされてしまいました。

せっかくですから、食べてみる?とのお言葉に甘えて、わくわくしながら皮をむいていきます…

薄い皮をシューっとむいて、好きな人はお塩をつけて食べるとまた美味しいとのこと!

シャクっと一口。酸っぱ〜い!

でも酸っぱいだけでなく、後味すっきり。シャクシャクした食感がまた清々しい!

山育ちのちかちゃんも懐かしい、と言いながら1本シャクシャク。

そんな間にも信子さんは次の山菜を見つけ出します。

お次はゼンマイ。

ゼンマイって、こんな風にまとまって生えるんですね!

柔らかいところをポキっと折って採集します。どんどんポキポキ採れて楽しい〜。



まとっているワタも…

ぽろっと取れる〜。

信子さんが小さい頃は、ゼンマイの先のボールの部分をこのワタでくるんでボールにしてよく遊んでいたそう。

なるほど、そんな遊び方もできるんですね。なんだかいいな、お山ならではの楽しみ方。

ところでゼンマイって、「オン(男)」と「メン(女)」があるのをご存知ですか?

左のつるっとしていて葉っぱが綺麗に巻いている方が、メン。

胞子葉と呼ばれる葉がしっかりとボールのように巻いている右の方が、オン。

調べてみると、オンの方がメンより先に生えてくるので背が高く、茎も少しザラザラして硬いとのこと。成長すると胞子葉を開き、胞子を出して種子を残すんですって。

そうすると先ほどワタに包んでボールにすると書いたのは、オンの方ですね。メンは平たく綺麗に巻いているのに対して、オンは葉っぱが目立ちもさもさしている印象です。

今回の山菜採りではゼンマイをたくさん採集できたので、ここから信子さんに教わったゼンマイの食べ方を紹介します。

美味しく食べるには、下ごしらえから。

ゼンマイのワタは全てとり、オンの葉っぱもとります。

これから一煮立ちさせて乾燥させる過程で、メンの柔らかい葉っぱは揉むと簡単に取れるので、残った葉っぱをあんまり気にしなくてもよいとのこと。

熱湯でサッと茹でて湯を切ったら、ザルのまま粗熱をとり、茎の中まで完全に乾燥してポキっと折れるまで干します。2晩置いておきますと…

こんなに干からびちゃった…!色も真っ黒になってる!

ほんとは乾燥しきってしまう前に2、3回揉むことで残っていた葉っぱが取れるのですが、干からびたゼンマイを見た私は焦って信子さんの指示を忘れ、そのまま水につけてしまいました。(ノブコサンゴメンナサイ…!)

約6時間水に漬け、間で2、3回揉んで水を替えることで、少し余分な葉っぱは取れました。戻し具合も順調でしたので、ほっと一息。

信子さんも、「これじゃったらいけるねぇ」。

(ズボラな私はまだまだおかみにはなれません…猛省。)

ここからまた水を替えて、熱湯で30分ほど茹でます。

なんだか乾燥させたり水につけたり茹でたり、忙しいですね。でもこのひと手間ひと手間が、山菜を美味しく食べる絶対条件のようです。

茹でたゼンマイは10分ほどそのまま置いて粗熱をとり、ザルに上げて冷水をかけます。

さらに揉んで…水を切っておきます。

人によっては冷水に漬けておいたり、冷水をかけないでそのまま調理するなど、ゼンマイの灰汁抜き方法はおかみさんの中でも人それぞれなんだそうです。



ゼンマイの量に合わせた水におじゃこを投入して少し煮出し、醤油とお砂糖で調味すると、ゼンマイを投入。

くつくつと煮て、味を安定させます。

美味しそう〜!

シンプルな味付けだからこそ美味しいのです。ゼンマイの煮付けができました!

このままでも美味しいのですが、最近私の中でブームになっていて、なんにでも混ぜちゃうおかみさん市オリジナル商品の「辛い醬(からいじゃん)」を和えていただきました。

このゼンマイ独特の歯ざわり。普段家で食べることのない味。
手間ひまかけられた、なんだか懐かしい味。

今はレトルト食品など簡単に食べられるものが増えてしまいましたが、昔の人はこうやって山にあるものを丁寧に下ごしらえして、お料理の一品一品を作っていたんだなぁ。

乾物の調理法をマスターすれば、お料理のレパートリーも無限大ですね。

おかみさん市では干したけのこや切り干し大根、干し椎茸など様々な乾物を取り扱っております。辛い醬は、もちろん他のお料理とも合いますが、乾物の煮物と相性抜群なんですよね。

前回、おかみさんに干したけのこの煮物を作っていただいたときも、辛い醬が少しだけ入ることで一気に「美味しそう!」が倍になるんです。赤い色が食欲を増進するからでしょうか。それとも私が辛い醬の美味しさを知っているからでしょうか。

辛い醬は唐辛子、天日塩、米酢、きび砂糖を混ぜて作る辛味足しの調味料ですが、ただ辛いだけでなく、辛いけど酸味も感じるし深みのある味で、そのままぺろっとなめても美味しいんですよ〜。

〜山のお話の続き〜

こちらは、葉わさび。
旬が短く、綺麗な水のあるところにしか生えていないのだそう。
お料理に加えるとピリッと美味しく、山菜の中でもレアなものなんだそう。
探し甲斐がありますね!

たけのこも、今が旬です。
おかみさん市でもお弁当にはたけのこが定番で入っており、今日も仕込み中でした。

なんと採ってすぐのたけのこはえぐみが出ないので、アク抜きをしなくてもいいのだそう。これも、みもとにとって新たな発見でした。

今回採集した山菜は、右からゼンマイ・クサギナ・イタドリ・わさび菜でした。

ほんの1時間程度の散策でしたが、お山から春の恵をこんなにたくさんいただくことができました!これも、長年のおかみである信子さんの知識があったからこそですね。

信子さん、ありがとうございました!

おかみさん市については、また別の記事でご紹介していきます!おたのしみに!