こんにちは!

さて、四万十町特産の食材といえば、お米や生姜、栗うなぎや四万十ポークなどが有名ですよね?
ただ実際にスーパーに行くとピーマン、みょうが、ニラ、なす、白菜や椎茸など様々な食材が出回っているようです。

値段も東京で買うより安く「さすが四万十町」と感心していた折、
「世界最先端の技術を使って高品質のトマトを作り出している」という情報を聞きつけました。

- 世界最先端? なんかおいしそう…

そんな漠然とした感想を抱きつつ、初取材でドキドキしながらお話をお伺いしに行きました。
今回は四万十町本堂にある「株式会社ベストグロウ」さんの先進的なトマトの栽培方法をご紹介します!

 

 ベストグロウとは

株式会社ベストグロウは2012年に設立し、当初は出荷に適さないトマトをジュースやドレッシング等への加工業務を行っていました。

転機となったのは2016年。4.3ヘクタールという広大な敷地にグリーンハウスが完成したのです。これはテニスコート約165枚分!
そしてこのグリーンハウス全体の約3分の1を利用して、同年7月よりトマトの栽培にも着手しました。
ハウス内の設備や栽培方法は農業先進国・オランダの最先端技術を導入しているそうで、この栽培方法を用いている農園は日本では稀なことから注目されています。

では、冒頭から出ている「最先端技術」って何だ?

「それはハウスの軒が高いのと、温度管理、養液管理などハウス内すべての環境を機械操作で行っているのですよ。もちろんその他にもありますが…」

お答えいただいたのは南真佐雄さん。株式会社ベストグロウ四万十農場の出荷管理課長を務められている方です。

おいしいトマトができるワケ

- ハウスが高い? 機械で管理?

ということで早速ハウス内を見学させてもらいました.

- 高っ!

確かにハウスの天井は高く、軒高6mにも及ぶそうです。通常よく見るビニールハウスの高さは約2mなので、開放感があります。

この高いハウスの天井に届きそうなくらい、トマトの蔓が伸びています。
こうすることで日光がどの葉にもまんべんなく行き渡るそうです。豊富な日光を必要とするトマトにとっては居心地の良い環境なのでしょう。

天井の高いハウスだと温度管理もしやすいそうで、
「普通のハウスのように低くて狭いと、夏場は天井近くで50℃以上になることもある。でもここは夏でも外気温と同じくらいに保てるんですよ」と南さん。

また暖房にはLPガスを使ったボイラーを使用しており、その排ガスで出る二酸化炭素は温室内に取り込み、植物に供給しているそうです。
排気物質がハウス外にほとんど出ない構造になっており、エコでムダがないのです。

そのうえトマト栽培には土やロックウールを使うのが一般的ですが、ここではヤシガラを使っています。
「ロックウールは廃棄物の量が多くなります。その分ヤシガラは最後堆肥にできるので、環境への負荷を少なくすることができます」

なるほど、環境に配慮したつくりになっているのですね

さらに農業先進国・オランダ製のシステムを導入し、室温・潅水量・窓の開閉なども自動で制御しています。

まさに管制官!

 

また機械だけでなく、自然界の力も借りながら育てています。例えば受粉作業はマルハナバチが担っています。インタビュー中も、ハウス内をブンブンと飛び回っていました。

受粉作業はハチのお仕事!

機械制御やハチの活用などをしていますが、やはり最終的には人の力が重要です。

状態の管理・観察や余計な枝を取る芽かき、蔓をまっすぐ伸ばすためにワイヤーに括るといった作業は全て人間が行っています。
もちろん高い所での作業もあるため、ここではリフト付き作業車が活躍しています

このようにして実ったトマトは人が丁寧に収穫していきます。

「普通のトマトは実が地面に落ちるがですよ。だから収穫はかがんで作業せないかん。ここでは根の位置を高くしているので実が地面に付かず台車に座って作業できるので、効率的で人にも負担がかかりにくいです」

こうしてトマトが栽培・収穫されているのです。

 

自慢のトマト、その味は?

- ところでトマトは何品種栽培しているのですか?

「大きく分けて5種類。ミニトマトでいくつも種類があるので、それを入れたら10種類。あと試験栽培も合わせたら13種類ですね」

さすがハウスが広いだけあって品種も多い…
ところで肝心のお味はどれが一番おいしいのだ?

ということで南さんに、ふるさと納税の返礼品にもなっているトマト4種(凛と・深紅・ミニミックス・ミニゼブラ)の甘さ・酸味・旨味・歯ごたえ・みずみずしさを3段階で格付けしてもらいました。

個人的には歯ごたえとみずみずしさを兼ね備えた「深紅」が気になるところです。
深紅は実の中のゼリーまで赤色が濃いため、切り口が鮮やかで映えるそうですよ。

 

トマトだけでなく、人にも優しいベストグロウ

さて、ここでハウスを出て南さんにもう少し詳しくインタビューさせていただきました。

 

- 南さんご自身は普段どういったお仕事をされているのですか?

「出荷量の調整が主ですね。取引先からの発注があるほか、今の成育具合・糖度についての質問やサンプルが欲しいなどの要望への対応をしています。
あとは労務管理ですね。関連会社と合わせて四万十農場だけで40人以上の従業員がいるので労務管理も大変です」

- お忙しいのですね、、ちなみにベストグロウに入社される前は何をしていたのですか?

「高知市内でラーメン屋をしていましたが、今は弟も出店したので私のお店は閉めました。弟のお店は担々麺が好評ですよ」

- ラ、ラーメン屋? もともとラーメン屋をしばらくしていたのですか?

「そうですね」

- トマトとラーメン、畑違いですがなぜベストグロウに入社されたのですか?

「実はラーメン屋を営みながら大学にも通っていたんですけど、ケガをしてしまいまして。それで厨房に立てない時期がしばらく続きました。子供もいたので、ケガ等に収入が左右されるのはリスクあるなと思い、就職先も探しました。それで大学卒業時に縁あって現在に至っています。
農業の経験はなかったですが、入社後に研修も受けて今は出荷管理の業務にあたっています。また以前と同じ食べ物に関する仕事なので興味ばかりで抵抗はまったくありませんでした」

- そうなんですね… 今のお仕事で大変なことはありますか?

「今担当しているのは人のマネジメントですが、植物とは違って人は心があるので気持ちよく働いてもらう環境を作るのが難しいです」

- 会社全体でも働きやすい環境づくりをされているとお聞きしたのですが?

「そうですね、コロナが流行る前までは毎年社員全員で慰安旅行に行っていましたよ」

- 全員で!?

「あと土日は基本的に休みにしています」

- 慰安旅行や土日休日など、農園をスッカラカンにして大丈夫なのですか?

「はい、農業って年中無休のイメージですけどね。もちろん緊急の時は休みの日でも旅行時でも即座に農園に出向き対応しなければいけないですけど、ハウスの環境のコントロールは遠隔でもできるのでハウスに来ることはほとんどないですし、従業員は土日休みにできています。ただ出荷量は確保しなくてはいけないので、その分平日は頑張っていますよ」

最先端技術も駆使して土日は休み。収穫も人に負担のかからないようにしていて労働環境はしっかりと整えられていいますが、これらは最初からうまくいった訳ではないようです。

 

「立ち上げの時は大変でした。集まってくれた人もほとんど素人なので。僕は1年半研修を受けたのですが、それを短期間で未経験の社員に教えるのには苦労しました。社員へ教えている間にトマトはどんどん成長するので大変でした。
今は力を付けたメンバーが頑張ってくれているので、新しく入った人に教えるだけになりました。その分時間ができ、トマトの品質を高めることに集中できていますよ」

- 創業当時から勤められてきてやりがいはありますか?

「やっぱり食べ物なので。安心・安全なトマトを届けられていることはやりがいを感じます。あとは『都会の人はお腹を空かして待っている』という思いでやっていますよ。ベストグロウでは1日多い時では5トンを出荷しているのでね。うちがやらないと困る人がいっぱいおる」

小売りや加工向けだけでなく、栽培開始当初からふるさと納税の返礼品として全国にトマトを送り出しているベストグロウさん。最後に今後の目標を伺ってみました。

「もっと多くの人に食べてもらいたいので収穫量も上げたいですし、同時にトマトの品質もさらに高めていきたい。
あとはこれからの時代に合った販売経路を拡大して、より多くの人に召し上がっていただきたいです」

 

人にも環境にも優しい最先端技術を駆使したトマト、みなさん一度味わってみてはいかがでしょうか。

ハウスに入るとフワっと広がるトマトの甘い香りに、思わず深呼吸。食べずとも分かる甘いトマト、ぜみご賞味あれ
サラダじまん 300ml
サラダじまん 300ml
とまとのマヨ 220g
とまとのマヨ 220g