こんにちは!ライターの智恵です。
今年は初夏らしさを感じる期間がすごく短かったですね。

車の窓を開け、新緑の香りを胸いっぱいに吸い込みながらドライブするのが初夏の楽しみだったのですが、それもほんの少しで終わってしまい残念です。

梅雨入りが早かったから仕方ない・・・と思いきや何だか晴れ間が続いて、6月に入ると高知県ではもう夏の陽射し。

四万十町で獲れる夏の宝石、ブルーベリーもそろそろ色づく頃!!
ということで今回は、株式会社サンビレッジ四万十の吉岡さんにお話を伺いました。

 

風が吹き抜ける場所

ブルーベリー農場は四万十町影野地区、JR影野駅から徒歩約5分のところにあります。
約27アール(2700平米)の農場に向かって立つと、目の前と背後には山があり、左右は抜けているような場所です。

取材当日は梅雨の中休みでしたが、日焼け止めを塗りこみ、麦わら帽子をしっかりかぶって挑まねばならないような強い陽射し!さすが高知。。

でも山あいから涼しい風が絶えず吹き抜けていて、うんと気持ちがいいです。

近くにご自宅がある吉岡さんによると、ほぼ1年を通してこの風が吹くといいます。

「夏でも冷房を入れるがは年に1回か2回。扇風機は点けたりもするけんど、窓を開けて寝たら朝方冷(ひ)ようて目が覚めるばあ。夜はちょっと暑うても、明け方は涼しいで」

夏の暑さがとにかく大変な高知県では、なかなか聞かないエピソードです。

といっても昼間の作業は危険なほど暑いので、収穫は朝早くから午前中まで。
この寒暖差も、ブルーベリーの生育にひと役買っているんでしょうね。

常に試行錯誤、22種類のブルーベリー

農場に入ると、目の前には鉢がずらり。
ここではブルーベリーの木が、大きめの鉢に植えられています。

―地面ではなく、鉢に植えているのはどうしてですか?

「鉢の方が管理がしやすいと思うて。もしこの品種はやめろうと思うたときに、すぐ除(の)けれるし。別の場所へ持っていくときにも、移動させるがに楽やきね。」

というのも、吉岡さんが今栽培しているブルーベリーは22種類。
そのうちしっかり収穫するのは15種類で、あとの7種類はこの土地に合うかどうかを見定めるために試験的に栽培しているものです。

よりこの土地に適した、より味の良いブルーベリーを求め、だいたい3年くらい育ててみて、その成長具合から栽培を続けるかを決めるといいます。
確かにそうやって品種を入れ替えるたび地面を掘り返すより、鉢で移動する方が効率的ですね。

たくさんある鉢から鉢へと移動しながら「これはガップトン、これはTH605、それとスプリングハイ…」と、次々と品種名が飛び出すので、とても覚えきれません(汗)

鉢ごとに付けられた品種名の表示の写真を撮りながら、しゃっしゃと動く吉岡さんの後をようよう追いかけます。

「これはあんまり実がつかんかった。こっちはやっとこれぐらいに育った。これは育ちがいいかなあ。一番早く収穫できるがはこれ」

優しい目で1つ1つ木を見ながら話してくれる様子は、学校の先生が生徒のことを話す感じにも似ています。

その”生徒”の中でも一番早く収穫できる「スプリングハイ」という品種を、贅沢にもその場でもいで食べさせてもらいました。陽に当たって温かい実は柔らかく、普段食べるブルーベリーよりも甘みを強く感じます。

口中に広がる甘さと酸っぱさの、うっとりするようなバランス。
これまで食べてきたブルーベリーに比べると味が濃いのに、後味はすっと引いていくー!

無限に食べられそうでしたが、もちろん欲望はグッとこらえておきました(笑)

小動物からの被害を防げ!意外な防御法とは?

これだけ美味しい果実なら、動物たちにとってもご馳走なのは言うまでもありません。

タヌキ、ハクビシン、イタチ・・・様々な小動物たちが、お相伴に預かろうと訪れるそうです。農場をネットで囲い、さらに電気柵を巡らせてもお構いなし。隙間からするっと入ってしまうんですって。

ひどいときには、最も収穫高が多かった年の半分近く食べられてしまったとか。

収穫シーズンの6月~7月は人を雇うものの、冬場の剪定、春の花落としから、水やり、液肥の調合、病気の対処などなど、、

年間を通じて約350本のブルーベリーを吉岡さんが1人でお世話していることを考えると、何とも胸が痛みます。

しかし吉岡さん、奇策に打って出ます!

「去年はどっさりバナナを買うてきて。毎日毎日1房ずつ点々と置いたがよ。そしたら、ペロリっと食べてしもうてね。ブルーベリーを食われるよりバナナの方が安いきと思うて(笑)。毎日毎日、バナナ食わいちゃった」

―ええー!(笑)それで、ちょっとは被害が減るんです?

「と思うちゅうけど(笑)。バナナを食べた分だけ、多少おなかは一杯になっちゅうろうと。被害がひどかったときは1日に相当食いよったろうき」

大笑いで教えてくれましたが、小動物が果実を食べるときに細い枝を折られたりと本当に困る被害だったそうです。
動物たちにはバナナの恩を忘れず、今年はちょっと遠慮してほしいところですね。

実は・・・本業は建設業!

この影野地区で約26年前に”集落営農”がスタートしてから、いくつかの変遷を経て、現在の株式会社サンビレッジが設立されました。

集落営農…集落を単位として、農業生産過程の全部又は一部について共同で取り組む組織。(農林水産省HPより)

吉岡さんは当初から中心的な役割で参加されていますが、実は建設業が本業です。

「建設業の前はもともと百姓やったき。ブルーベリーは夏の収穫シーズンが終わってから、冬の剪定までは世話がひと段落するき、そこで本業に集中してね(笑)」

「あれこれこだわって考えて10年以上やってきたけど・・・ブルーベリーはいつまで経っても「これでえいわ」にならん。完璧にやりたいけど、それでもまだ完璧ではない」

「”ちょっとでも甘いのを”と思うて色々品種も試しゆうけど、3年は見てみんと分からんきね」

建設業も大変なお仕事ですが、お話を聞いていると、吉岡さんがブルーベリー栽培にも強い情熱を持って取り組んでいることがよく分かりました。

ケーキ屋さんからも人気!甘みが強い大粒ブルーベリー

吉岡さんの農場は6月~7月の間、ブルーベリー狩りのお客さんも受け入れています。

「ブルーベリーは酸っぱいもんやと思いよったけど、こんなに甘いがやねえ!」
などと評判は上々。リピーターのお客さんもいるそうです。

また「こんなに大粒で味の良いブルーベリー、めったにない」と、県内のケーキ屋さんからも人気。
販売所ではなく、吉岡さんから直接仕入れているお店もあるそうです。品質が信頼されているからこそですね。

ちなみに娘さんの結婚披露宴では、吉岡さんのブルーベリーをふんだんに敷き詰めた豪華3段重ねのケーキを特注して、みんなに大好評だったそうです。
めちゃくちゃ羨ましい!食べられた人はラッキーでしたね。

吉岡さんおすすめの食べ方は、「完熟した実と若くて酸っぱい実を、まとめて何個か口に放り込むのが一番おいしい」だそう。

観光農園へ行けない方も、この食べ方でぜひフレッシュなブルーベリーを楽しんでほしいと思います。

ブルーベリーと言えば「目に良い」というイメージ。吉岡さんも「視力が上がったりはないけど、目の疲れは確かにとれる」とのこと。パソコン、スマホで酷使している目を労わりつつ、甘酸っぱい果実も味わえるなんて一挙両得すぎます!
サンビレッジ四万十ブルーベリージャム
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サンビレッジ四万十ブルーベリーシロップ
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